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比べられる空気のなかで、社長がすべきこと

先代から事業を引き継いだばかりの方と話をした。外から見れば順風満帆に見える。でも、話を聞いていくと、ふと漏れた言葉が印象に残った。

今の社長はまだ…って、誰が言ったわけでもないんですけどね。でも、そういう空気を感じる気がしてしまう

この「空気」というやつが、なかなかに厄介で。面と向かって言われるわけではない。だけど、比べられている気配がある。先代の姿が、見えない基準として残っている。

事業承継の場面では、「何を変えるべきか」「何を守るべきか」で悩まれていることが多い。でもその前に、本当に必要なのは「どんな判断軸をもって、これから経営していくのか」を言葉で定めることではないかと。支援をしながら、強く感じた。

「基準をつくる」というのは、戦略や方針とは違う。根っこにある、何を良しとし何をやらないのか。どういう価値観で動く会社なのかが基準。その土台がないと、どんな意思決定も揺らいでしまう。

基準を明確に言語化できれば、先代との違いも比較ではなく「基準が変わったんだ」と理解されるようになる。変化への納得感はそこから生まれる。

では、どうやって基準をつくるか?

いきなり立派なビジョンを掲げる必要はない。まずは自分が「大事にしていること」と「やらないと決めていること」を10個ずつ書き出してみる。それを社員や取引先と対話しながら磨いていく。問いかけを通じて、独りよがりではなく、共に育てる基準にしていく。

この判断は、私たちの基準に照らしてどうか?

そんな会話が日常になれば、会社の意思決定に一本筋が通っていく。その筋は、比較に振り回されない自分自身の軸でもある。基準づくりこそ、社長の最初の仕事かもしれない。


初出:note(社長が迷わなくなるノート)