大変そうだけど、まずは自分でやってみないと分からないよね
とある経営者が、笑いながら言った。軽い口調だった。根性論や精神論ではなく「まずはやってみること」を、言葉通り実践するから説得力がある。
この経営者は、会社の設立、支援してもらう士業とのネットワーク構築、事業運営など、すべてまず自分で手を動かす。得意・不得意に関係なく、分からないことは誰かに聞きながら、自分が納得できるまで関わる。一貫しているのは「腹落ちするには、自分でやってみるしかない」という姿勢だ。
支援していて興味深いのは、その姿勢に苦しさが感じられないこと。むしろ、自分でやってみること自体を、ちょっと楽しんでいるように見えた。
大変なことや面倒なことも、会社の未来に役立てられるのであれば惜しくない。今の手間は未来への投資であり、苦労は還元可能な資産だと見立てて動いているように思える。
このマインドは、経営者の素質のひとつではないか。やってみる、とは単に体験することではない。できるようになることが目的ではなく、自分ごととして考えられるようになること。仕組みを知る、関係性を理解する、自分の言葉で語れるようにする。そのための「やってみる」をやる。
この姿勢は、経営だけでなくDXのような変化の激しい領域にも通じる。誰かに任せきりにするのではなく、自ら少しだけでも触ってみる。試してみる。その繰り返しが、変化に強い思考の下地をつくっていく。そう強く感じた。
初出:note